介護業界では現場スタッフの介護離職が問題になっています。介護業界は他の業界に比べて賃金が安いと言われることがよくありますが、介護離職の原因は賃金の問題だけなのでしょうか。まず、介護業界では明確なキャリアアップシステムが採用されており、上位の介護資格の取得と一定の実務経験を積むことでキャリアが上がる仕組みになっています。キャリアアップをするためには当然時間と労力が必要ですが、これはどの業界でも同じと言えるでしょう。キャリアが上がれば収入も上がり、企業によっては資格手当が付くこともあります。このように介護業界は一概に賃金が低いと言い切ることはできず、介護離職の原因は賃金の問題以外にも存在すると考えられます。介護の現場では様々な介護サービスが提供されていますが、その中でもADLが自立していない高齢者に提供する身体介護サービスの需要はとても高いです。身体介護サービスには入浴介助やベッドや車いすへの移乗などがあり、どれも介護スタッフにとっては肉体的な負担が大きな作業です。介護の現場では身体介護サービスの提供をし続けたため腰痛など体調を崩してしまう人も多く、場合によっては退職を余儀なくされるケースもあります。このように介護離職をした人たちは体調が回復しても社会復帰の場に介護業界を選択することが少なく、他の業界に流れて行ってしまうことが多くなっているのです。慢性的な人手不足が続いている介護業界では現場のスタッフが働きやすい環境づくりが課題となっており、安定した労働力の確保に尽力しています。